大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和24(れ)1843 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

各弁護人の上告趣意は末尾添附別紙記載の通りでこれに対する当裁判所の判断は

次ぎの如くである。第一、被告人A弁護人内田弘文上告趣意について。

第一点

刑法第六六条により犯罪の情状憫諒すべきものとして酌量減軽を為す場合は、

酌量減軽を為すに至つた判断理由を判決に示す必要なきものであること当裁判所の

判例とするところである。(昭和二三年(れ)第四〇八号、同年七月六日第三小法

廷判決)

従つて論旨は理由がない。

第二点

論旨は犯行の動機、犯行後の情状、善良の性格等を記述し、原判決の量刑は不

当であり、執行猶予を附すべきであるというにすぎず結局原審の量刑を批難するも

ので上告適法の理由とならない。

第三点

証拠調の範囲限度の裁定は事実審たる原審の専権に属するところであつて、記

録を精査するも原審か所論の証人を喚問しなかつたからというて、それか実験則に

反するとは認められない、従つて論旨は理由がない。

第二、被告人B弁護人石川浅上告趣意について。

上告趣意書中の「緒言」はこれを独立の上告理由とする趣旨とは認められない

し、たとえそうであるとしても原判決に法律違反あることを主張するものでないか

ら上告適法の理由とならない。

第一点

- 1 -

論旨は、相被告人に対する酌量減軽事由の説示に瑕疵ありと云うに止まると解さ

れるから(第二点と対照して)被告人B本人のためにする適法な上告理由とならな

い。(昭和二三年(れ)第二五四号、同年六月一七日第一小法廷判決参照)

第二点

判決書に酌量減軽事由の有無について、証拠に基きその理由を説示する必要の

ないことは云うまでもない。而して、量刑は、被告人各人について個別的に犯罪の

動機、情状その他諸般の事情を考慮して決定せらるべきものであつて、相被告人と

の間に刑の軽重かあつても、素より不公平の判決と云うことはできない。(昭和二

三年(れ)第四三五号、同年一〇月六日大法廷判決参照)。論旨は理由かない。

第三点

刑の量定は事実審たる原審の専権に属するところであるから、論旨は上告適法

の理由がない。

第四点

前記内田弁護人上告論旨第三点に対すると同断である。

よつて上告を理由なしとし旧刑事訴訟法第四四六条に従つて主文の如く判決す

る。

以上は当小法廷裁判官全員一致の意見である。

検察官 安平政吉関与

昭和二四年九月二〇日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 河 村 又 介

裁判官 穂 積 重 遠

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!